ショック残酷大全科
著者:日野康一/秋田書店/1982年/当時670円/15x10.5cm
表紙に、”身の毛もよだつ映画の残酷シーン大登場”と書かれてある通り、この頃公開されたショッキングな映画のシーンを紹介したものです。構成ですが、パート1は、残酷ゾーン:残酷映画の巨匠ヤコペッティの大残酷物語、パート2は、驚異ゾーン:知られざる魔境 世界の大驚異ゾーン、パート3は、恐怖ゾーン:ドキッ!!恐怖映画のショックシーン大全集、パート4は、衝撃ゾーン:名作・ショック映画大ロードショー、となっています。1982年が初版ですが、私が持っているのは1993年の第6版ということで、それなりに売れたことがわかります。私が青春時代を過ごした1970年から1980年前半ぐらいまでは、世界各地の奇習や風俗、事故や処刑の瞬間等の衝撃映像を、虚実織り交ぜドキュメンタリー風に仕上げた映画(モンド映画)が大流行していました。実際に映画館で見たことはあまりなかったのですが(もっぱらジャッキー・チェンの映画等にはまっていましたので)、ポスター等の印象が今でもとても強く残っているものばかりです。
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いや〜、本は表紙の重要性が一番とは思いますが、この表紙です・・・(苦笑)。この本を平気でレジに持って行って買う小学生とかいたら嫌だったろうなあ・・・。 |
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パート1は、イタリアの映画監督で、1961年の『世界残酷物語(原題:Mond cane(犬の世界))』以降、数々のショッキングなドキュメンタリー映画を発表し、上記モンド映画というジャンルを築いた、グァルティエロ・ヤコペッティの作品を紹介しています。
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ここでは、『世界残酷物語(1961年)』、『続世界残酷物語(1963年)』、『世界女族物語(1963年)』、『ヤコペッティの残酷大陸(1971年)』、『ヤコペッティの大残酷(1974年)』が紹介されていますが、殺される象と救われる子馬というコントラストが印象的な、ポスターのインパクトが強かったのがこの『さらばアフリカ(1966年)』です。 |
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パート2は、驚異ゾーン:知られざる魔境 世界の大驚異ゾーン、ということで、パート1のヤコペッティ作品以外の、ドキュメンタリー(またはドキュメンタリー風)映画が紹介されています。 |
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南アメリカを舞台にした記録映画で、カンヌでも賞を獲得した『緑の魔境(1953年)』です。この映画によって、人食い魚ピラニアが日本でも有名になったと言われています。 |
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第2次世界大戦中のナチスドイツがユダヤ人などに対して組織的に行った大量虐殺(ホロコースト)を扱ったドキュメンタリー映画『夜と霧(1955年)』です。全32分と非常に短い作品ですが、当時、世界に強い衝撃を与えた作品です。
「廃墟の下に死んだ怪物を見つめる我々は、遠ざかる映像の前で希望が回復した振りをする。ある日のある時期における特別な話と言い聞かせ、消えやらぬ悲鳴に耳を貸さぬ我々がいる・・・」
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パート3は、恐怖ゾーン:ドキッ!!恐怖映画のショックシーン大全集、ということで、”残酷!マカロニ・ウェスタン特集”、”パリゾーニ残酷特集!!”他、『ゾンビ』や『ブギーマン』、『エイリアン』、『ヘルナイト』等々、当時のショッキング&ホラー&スプラッター映画をこれでもかと紹介しています(この章が最もページを使っていますね)。写真左側の人の顔は、『ジャンク 死と惨劇(1978年)』のものですね(これも当時ポスター等インパクトがありました)。前の章のものですが、右のサメに食われた人の画像(人喰いサメの恐怖を描いた長編ドキュメント『シャーク(1976年)』)もインパクトありますね・・・。 |
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インパクトのある映画第1弾。フランス・イタリア共同制作の映画『顔のない眼(1960年)』です。この画像には載っていませんが、登場人物であるクリスチアヌの装着するマスクのなんとも恐ろしくも悲しいことといったら・・・。 |
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インパクトのある映画第2弾。タイトルとやはりこの丸禿さんがインパクトありまくりです。〇薬ブルー・サンシャインの影響を受けた禿さんにはご注意を・・・カルト映画化している『悪魔の狂暴パニック(1977年)』です。 |
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インパクトのある映画第3弾。1972年に起こったウルグアイ空軍機571便遭難事故を描いたドキュメンタリー映画、『アンデスの聖餐(1975年)』です。ウルグアイからチリに向かった旅客機が遭難し、雪山で生き残った乗客たちが行なったこととは!?
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インパクトのある映画第最後。悪魔とコンピューター、そしていじめられっこが魔剣を持って空を飛ぶ・・・男版キャリーの『デビルスピーク(1981年)』です。クリント・ハワードがいい味を出していて、これまた結構カルト化しています。 |
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パート4は、衝撃ゾーン:名作・ショック映画大ロードショー、ということで、『エレファント・マン(1980年)』を筆頭に、『ホラーワールド(1979年)』や『グレートハンティング1&2(1975年&1976年)、『カタストロフ(1977年)』などが紹介されています。 |
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日曜洋画劇場か何かで見て、当時小学生か中学生だった私に強い衝撃と感動を与えてくれた、鬼才デヴィッド・リンチ監督作品『エレファント・マン(1980年)』です。最後に眠るシーンで泣きました。 |
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ヤコペッティの作品群で撮影を担当していたアントニオ・クリマーティの監督作品、『グレートハンティング(1975年)』です。やはり、ライオンに喰われて足が出ているシーンが印象深いのですが、どうもやらせらしいです・・・(苦笑)。 |
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この本最後の紹介は、こちら。スピルバーグが製作、そして『悪魔のいけにえ』で有名なトビー・フーパーが監督した、『ポルターガイスト(1982年)』です。この後、パート2やパート3も作られるのですが、映画出演者の怪死が続いたということでも話題になりました。 |
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最後におまけで、この本に挟まれていた秋田書店の大全科シリーズのちらしです。大きく、”怪奇”、”クンフー”、”アニメ”、”ホラー”、”怪獣”、”なぞなぞ・クイズ・パズル”、”その他”に分類されていて、私が好きそうなタイトルが多々あります(苦笑)。ちなみに、今回の本の作者は日野康一氏なのですが、他にも『怪奇大全科』や『ホラー大全科』を発行するだけでなく、『ブルース・リー大全科』と『ジャッキー・チェン大全科』も発行されています。話が合いそうです(笑)。 |