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藤子不二雄は、藤本弘(1933年12月1日生まれ)と安孫子素雄(1934年3月10日)のコンビ名です。1944年の小学5年生で同級生になって以来、ず〜と二人で漫画を描き、藤子不二雄の名前で数多くの作品を発表してきました。1987年にコンビを解消してからは、それぞれ、藤子・F・不二雄(途中、藤子不二雄F)と藤子不二雄A(実際は丸の中にA)というペンネームに別れて再出発しました。F氏は1996年に永眠なされましたが、A氏は現役で執筆活動中です。
もちろんコンビと言っても、一部の作品を除いて、共同執筆は実際にはありません。一般に、やわらかなペンタッチがF氏、力強いペンタッチがA氏の作品の特徴です。しかし、書き分けをしていても、才能ある2人が影響し合ったからこそ、長年、万人受けする魅力的な漫画を数々生み出せたのではないかと思います。
2人でなければ、これほど多く長く作品を発表できなかったのではないかと思うのは、私だけではないと思います。
1987年までは藤子不二雄名義ですが、ここでは一応、、F氏作品とA氏作品とに分けて、私が持っているマンガを紹介します。
随時付け加えていく予定です。



1.藤子・F・不二雄作品 2.藤子・F・不二雄 SF短編 3.藤子不二雄A作品 4.藤子不二雄A ブラック漫画短編


1.藤子・F・不二雄作品

その漫画人生の全てを、児童漫画に費やしたといえる漫画家でしょう。自分がおもしろくて、子どもも楽しめる漫画という信念のもと、数多くの児童漫画の傑作を生み出しました。しかし、SF短編で見られるように、大人の鑑賞にも堪えられる作品を数多く残すなど、オールラウンドプレーヤーでした。その繊細でやわらかなペンタッチからはほっとしたやすらぎを感じ、SF短編に見られる世界観の広さ深さには、知的好奇心を満たされます。1996年永眠。
注:ネタばれになりそうな物もあるのでご注意を


大長編ドラえもん・のび太の恐竜
のび太たちは、育てたフタバスズキリュウのピー助を救うため、タイムマシンで恐竜時代へ出発した。

コロコロコミックでリアルタイムに読んでいた作品。映画館にも何回も行ったし、ドラえもんパンも何個も食べた(笑)。
野生のエルザにヒントを得て、スピルバーグのE.T.にも影響を与えたという(これは本当かどうか知らない)。
F氏の、生命への愛情と友情の大切さを謳う、ドラえもん大長編シリーズはここから始まった。
数ある長編の中でも私自身、特に思い入れの強い作品


エスパー魔美
佐倉魔美はおっちょこちょいの女子中学生。しかし、エスパーとしての能力が目覚めてさあ大変。同級生、高畑和夫の助言と愛犬コンポコの助けをかりて大活躍!?

単行本を読んでいたのは小学生のころ。やはり魔美のヌードは子ども心に恥ずかしかった。でも魔美のようにおっちょこちょいで、でも心の純粋な女の子はやはり魅力的。油揚げ大好きコンポコも好きなキャラ。非常にかわいい。ハート型のテレポーテーションガンも欲しかった。
それにしても、漫画界の巨匠と呼ばれる人たちはみんな女性を美しく描く。手塚治虫氏の描くなまめかしいエロスを感じさせる女性、永井豪氏の描くいきおい?を感じさせる女性、等。それらも気に入っているが、SF短編を見てもわかるように、F氏の描く上品でいて、やさしげなエロス?を感じさせる女性も捨て難い(笑)。とても美しい女性をF氏は描く。
このエスパー魔美も大好きな作品。


T・Pぼん
平凡な高校生、並平凡(なみひら ぼん)はふとしたことからタイムパトロール隊員へ。先輩のリーム、後には後輩の安川ユミ子と共に、時空を超えて大活躍!?

時のロマンを感じさせる作品。F氏の歴史に対する造詣の深さに驚かされる。
また、”ちょっとしたことで過去の歴史が変わって未来に重大な変化を引き起こす”というのが度々描かれるのは、1つ1つの今ある出来事の大切さを謳っているのだろう。
下手な歴史の教科書よりずっと勉強になる?というか歴史−人間が好きになる作品。



2.藤子・F・不二雄 SF短編

F氏にとって、SFとは”SUKOSHI FUSHIGI(すこし ふしぎ)”のこと。
身近な世界をベースにした、ユーモアあり、恐怖テーマあり、滅亡テーマありの幅広いSF作品群が発表されていますが、その世界観の深さ、精密さには今でも驚かされます。実は自分たちの一番身近な所に、いろいろな不思議(真実)が隠されているということをF氏は言っているのではないでしょうか?
そしてこれら作品の根底に流れているものは、やはり自然を畏れ慈しむ心と人間賛歌です。
アニメで幾つかが発表されましたし、スネ夫で有名な肝付兼太さんの劇団でもいくつか演じられていますが、実写版としてテレビで放映してほしいものばかりです(昔流行った?”世にも奇妙な物語”系にはバッチリだと思います)。

注:ネタばれになりそうな物もあるのでご注意を


山寺グラフィティ
東京に住むイラストレーターの卵、加藤広康は、郷里の山寺で一緒に遊んでいた、幼なじみの木地かおるらしき人物に出会う。しかし、彼女はもう、あの冬の日に亡くなっている・・・

短編の中で最も好きな作品。自分が映画監督ならこの作品をイメージしたものを撮りたいと思う。
雪降る山寺の静寂なイメージが、よりせつなさをかきたてる。人の想いはいつまでも生き続ける・・・
2005年3月、初めて山寺を訪れました。
平日、天候は薄曇、雪はしっかり残り、時々小雪がちらつく状態で、まさに二人が洞穴で過ごしたあの日のような荘厳な雰囲気でした。
所々に見られる洞穴のような箇所。あの中に、かおるのための一式セットが置かれてあるような・・・よかったです。

ミノタウロスの皿
宇宙の彼方で遭難した男が不時着したのは、牛が文明を持ち、人間を飼育している惑星。
そして出会った美しい女性ミノアは優秀な食用種だった・・・

美しい女性がXXられるというのは、子ども心にショックであった。
でも、従来の人間と家畜の関係に戻って考えるとおかしいとは思わないんだよな〜。
人間の業というものを考えさせる作品。


どことなくなんとなく
同じ家族、同じ街、同じ生活・・・しかし、あの日から、何かが違う気がする・・・

昔、オチが結構衝撃的な『ジェイコブズ・ラダー』という映画があったが、”もしかしてこの世界が、全て自分の脳みそが造り出したものだったら”というのは今でもふと考える。
そうすると、何か自分一人が暗闇の中でポツリと立っているイメージがわいてきて、恐くなってやめる(笑)。
やはり人は1人では生きていけないし、そうやって生きるのもむなしい。



3.藤子不二雄A作品

F氏に負けず劣らず、どんな分野の漫画でもこなすオールラウンドプレーヤー。
カッコよくてカワイイ子ども向けから、人生の悲喜劇を描いた大人向けまで、そして、ギャグからスポーツ、ホラー、青春ものまで、その力強いペンタッチから多くの傑作が生み出されました。特に、笑いと恐怖という相反するものの描写には定評があります。
F氏に比べて明るくて社交的だったそうですが、現在でも数本の連載を抱え精力的に活動しているように、そのバイタリティーは衰えることを知りません。
いつまでもお元気でいらっしゃることを祈っております。

注:ネタばれになりそうな物もあるのでご注意を


怪物くん
怪物ランドの王子様、怪物くん(本名・怪物太郎)は、ドラキュラ・オオカミ男・フランケンを引き連れて人間界にやってきた。人間のヒロシと友達になり、悪事を働く悪い怪物どもを退治する!

A氏の代表作の1つ。怪物くんとお供3人組も魅力的だが、とにかく色々な怪物が楽しい。ノンビラスとタコの八郎が私のお気に入り。
最終回は、怪物くんが帽子を脱ぐバージョンと、自分の母親に会うバージョンがある。
1968年と1980年にテレビアニメ化。1968年の白黒バージョンでは故・淀川長治氏が解説者として登場していた(私はカラー版世代)。1981年には”怪物くん/怪物ランドへの招待”として映画化もされている。今は嵐の大野智主演で実写化もされている(見たことなし・・・)。
ちなみに、怪物くんを怒らせると手がつけられない。苦手なものはカミナリ。


プロゴルファー猿
猿谷猿丸(さるたにさるまる)は、猿谷で育った野生児。ゴルフにかけては天才的で、お手製のクラブを駆使し、プロゴルファーを目指している。しかし、その才能に目をつけたミスターXは、自分の配下におさめようと、数々の刺客ゴルファーを仕向ける。

とにかく、緊張感あふれる猿と刺客とのゴルフ対決が見物!功夫(クンフー)ゴルファー、竜はやはりかっこいい。紅蜂も美しい。猿の荒々しさは、A氏のペンタッチにぴったり。
私は実際にゴルフコースを回ったことはないが、”ワイは猿や!”と言って、旗包みをやろうとした人は何人もいるに違いない?私はヌンチャクでゴルフボールを打つ練習を公園でしていた(笑)。ウォ呀ーッ!!
1982年テレビアニメ化。


少年時代
太平洋戦争の末期、風間進一は東京から富山県の田舎に疎開する。そこで会ったのはタケシをはじめとする様々な少年たち。その純粋さゆえに、闘い傷つきそして手を握り合った2人の少年の、愛と憎しみのドラマ。

芥川賞作家の柏原兵三氏の長編小説、”長い道”を漫画化。
虫を平気で殺すなど、子どもは結構残酷であったりする。しかし、それはその純粋さのゆえだと思う。
この漫画でも、描かれているのは、貧しく生活の厳しい戦時中に、不器用なまでに純粋だった少年たち。青春時代というか、少年時代には、こうした痛ましくもいとおしい思い出の1つや2つを誰でも持っているだろう。
1990年に、篠田正浩監督で映画化。井上陽水の歌う主題歌も有名。私も大好き。



4.藤子不二雄A ブラック漫画短編

A氏の短編で素晴らしいのは、人間の心に潜む”影”の描き方が見事なことです。
誰でも心に何らかの負い目を持っていたり、だからこそ何かに憧れたりします。それが、お金だったり、異性だったり、精神的なものだったり、または他人の不幸だったり・・・
そういう人間の欲求−”影”が引き起こす悲喜劇を、独特の設定とユニークな小道具、そしてA氏の力強いペンタッチで見事に描いています。

番外社員
その男は皆が退社する時刻に悠然と出社してきた・・・その男の名は番外大吾郎!王冠商事の番外社員。
剣崎専務の秘密司令を受けて、会社の特殊任務に当たる!

A氏の短編シリーズにはこういった、見た目は普通だ(またはさえない)けれど、実は・・・というパターンのものがいくつかある。
昔流行った必殺シリーズ(うちの兄が大ファンだった)の中村主水、今頃であれば、特命係長 只野仁(少し古いけど)みたいなパターンだ。
この大吾郎は、裏で会社のさまざまな危機を救うのだが、その活躍が起こる場が、正義のためとか表の世界じゃなく、金がからんだ汚い世界でのものなのがいい。


ぶきみな5週間・第1週・毛のはえた楽器
あるテレビ撮影隊がアフリカ・ウガンダのあるピグミーの村を訪れた。そこでルールを守らない冒険カメラマン毛島剛が行方不明に。その後、スタッフが目にしたものとは?

差別的描写ということで、短編集などでも差し替えが起こった作品(この他にも、黒人差別にからんでは、藤子不二雄ランドのジャングル黒べえや、オバケのQ太郎の国際オバケ連合の巻の入った12巻の発行が止められたりしたことがある。)
それは置いておいて、これを読んで感じるのは、殺す方も殺される方も、人間のこわさ。
ある怖い話ホームページでも、”人間ダルマ”という恐ろしい話を紹介してたが、幽霊よりも何よりも、本当に恐いのは人間だと思う。


スターダスト・ラプソディ
ボクはいよいよアメリカ・ラスベガスを訪れた!もちろんやるのはギャンブル、カジノで最もポピュラーなブラックジャックだ。
果たしてこの指(フィンガー)が勝つのか、ディーラーの指(フィンガー)が勝つのか!?

A氏がよく描くのは、海外旅行とギャンブルの話。海外旅行に行ったり、ギャンブルで勝つというのは、手っ取り早く自分を変えることができるから、夢中になる人が多いと思う。そしてそれには、たいていお金と女の子が絡む。
憧れるのは自由だが、物事はそう簡単には成功しないのが世の常。そして成功があれば失敗があるのも人生。それを暗示するかのように、この手の話では、眼鏡をかけたさえない主人公はハッピーエンドをむかえることはほとんどない。
そういやA氏のこの手のギャンブルもので、結構ルールを覚えた。でも実際カジノへ行った時は全部スロットマシーンで、その知識は使わない(笑)。



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